表具の道具

表具の制作に用いる道具をご紹介します。

刷毛




①打刷毛
掛軸や巻物で接着力の弱い古糊を用いる増裏打ち・中裏打ち・総裏打ちの工程において、本紙や裂地と裏打ち紙とを十分に圧着するために用いられる。

②水刷毛
掛軸の増裏打ちや総裏打ちなどの工程で、適量の水分を均一に与えたり、皺を伸ばす時に使用する刷毛。

③撫刷毛
掛軸の本紙や裂地の肌裏打ち・増裏打ち・中裏打ち・総裏打ちの作業工程で、裏打ちの表面を整えるために撫でつける毛足の長い刷毛。

④しごき刷毛
掛軸の肌裏打ち・増裏打ち・中裏打ち・総裏打ちの作業の中で、糊を付けた裏打ち紙上の無駄な糊を取り除いて全体にならし、整えるための刷毛。

⑤付け廻し刷毛
掛軸の裂地と本紙とを貼り合わせる付け廻しや、耳折り・仕上げなど、細い部分や細かな部分に糊付けする際に使用する。

⑥糊刷毛
掛軸の肌裏打ち・増裏打ち・中裏打ち・総裏打ちなどの工程で、裏打ち用の和紙など広い面積に糊を付ける時に用いる刷毛。屏風や襖の上張りの際にも使用する。
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道具1




①胴付鋸
薄い鋸身の横挽きの鋸。曲がりを防ぐために背金が嵌めてある。上軸の切り合わせや軸削りに用いる。

②星突き
穴あけや印付けに用いる表具用の工具。「千枚通し」と同様のもの。

③印刀
刃幅三分前後の片刃の小刀。元来は印や篆刻を彫る際に用いるものだが、表具では画面の欠損部分を補修する際に紙・絹を細かく裁断したり、削ぎとりを行うのに用いる。

④・⑪竹箆
竹などを細長く平らに削り先端をやや尖らせた道具。表具制作では仮張りから紙を剥がす時や、喰い裂き・折り込み・撫で込み・筋付け・押さえなど、多様に用いる。

⑤ピンセット
和紙の小さな塵や糊付けの際に抜けた刷毛の毛など、細かいものをつまむ時などに用いる。

⑥丸包丁
表具制作で紙や裂を直線に裁断する際に用いる包丁。

⑦出刃包丁
包丁の一種。表具では、襖や屛風の耳すきや掛軸の軸ごしらえに使用する。  

⑧筋付け
直線に筋をつけ紙を折り曲げる時などに用いる道具。丸包丁の刃を落としたものや星突きの先を丸めたもの。

⑨鋏
取り合わせをした裂地や紐・糸などを切る時などに使用する。

⑩玄能
釘・鐶・鋲などを打ち込んだり、付け廻しや耳折りの際に叩いて接着させるのに用いたりする。
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道具2




①直角定規
裂地の肌裏打ちを行う時、経糸と緯糸の目が直角になるよう合わせる際などに用いる。
②・③定木
直線・曲線・角などを正しく描いたり、物を裁ったりする時にあてがって使う道具。表具制作では主に間中・五尺・長定木の三種と直角定規を用いる。
④かね定規
さしがね・曲尺(かねじゃく)のこと。長短2枝からなるL字形のものさし。表具では寸法を測ったり直角をつくったりするほか、屛風の下地の直角を定めて通り突きをする際などに使用する。
⑤尺差し
ものの長さをはかる道具。一尺は30.303cmで、この寸法を用いたものさし。表具では現在も寸法を尺・寸・分・厘で表している。
⑥数珠
掛軸の仕上がりを柔軟にするために裏面を摺る「裏摺り」を行う時に用いる。ガラス製のものが多い。
⑦止形定規
屛風の椽を45度に切断するときに椽にあてがう定規。片側に90度の角度が付けてあるので、直角に切断するときにも使用できる。
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